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折板屋根の改修方法、塗装・屋根カバー・葺き替えを徹底比較
「折板屋根」、一般の方々はあまり耳にしない言葉ではないでしょうか。しかし、その形状を聞けば、どなたもその存在を思い出すはずです。体育館や自転車置き場、バス停などの身近な建物に使われることが多い屋根で、台形が連続した凸凹の金属屋根が折板屋根です。ご自宅の車庫や倉庫、カーポートが折板屋根という方も多いと思うので、その特徴を説明したいと思います。
【動画で確認「折板屋根の改修とメンテナンス」】
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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【動画で確認「折板屋根の改修とメンテナンス」】
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屋根塗装・屋根カバー工法・屋根葺き替え
折板屋根のメンテナンスは状態に応じて最適なものを選びましょう
体育館などで天井が設けられていない場合、室内から見てもその形状が分かる折板屋根。一般的な建物の屋根と同じように、そのメンテナンス方法には屋根塗装・屋根カバー工法・屋根葺き替えとさまざまなものがあります。
このうち、屋根塗装が定期的に行われるメンテナンスで、屋根カバー工法と屋根葺き替えは大規模な屋根の改修となります。
もちろん、大規模な改修ほどお金がかかりますから、定期的に屋根塗装してあげて大規模な改修までの時間を延ばしてあげるのが理想的なメンテナンスサイクルとなります。
前述のように台形が規則正しく連なっている金属屋根が折板屋根です。 鋼板を加工したもので、その鋼板には古くはトタンと呼ばれる亜鉛めっき鋼板が使われていましたが、現在ではガルバリウム鋼板が主流となっています。高価ですが、耐用年数を重視して、ステンレスが用いられることもあります。
金属ですから、錆に弱いという面があり、メンテナンスの主な目的は錆を防止するためです。台形が規則正しく折り曲げられている理由は強度を高めるためで、折り曲げられている方向に対して垂直の力にはかなりの強さを発揮します。金属なので水が染みることがなく、勾配がない屋根にも使用できます。
前述のように折板屋根は金属屋根ですので、錆びさせないことが重要です。勾配がほぼない屋根に用いられることも多いので、それだけ雨水も停留しやすくなります。まずは定期的に点検することが必要です。
ボルトで固定している折板屋根の場合、ボルトから錆びてくるケースが非常に多いので、特に注意してみてあげましょう。ボルトの錆びを防ぐための樹脂製のキャップもあるのですが、紫外線でひびわれて風に飛ばされてなくなってしまうことも多いので、ここも気をつけてあげましょう。
また、長く使用していると屋根材を固定しているビスなどの部分がゆるんでくる場合もあります。こうなると強風に煽られて、屋根が折れ曲がったり、飛散することもあれます。強風時にカタカタ、音がしたりする場合は必ず専門業者に点検を依頼しましょう。
折板屋根のメンテナンスは劣化の程度にあわせて最適な物を選択します。表面に軽い錆が出ている程度なら屋根塗装、穴が開いており、雨漏りしているようなら屋根カバー工法、固定している部分も怪しくなってきており、強風で剥がれてしまう可能性があるなら、屋根葺き替えを検討しましょう。
言うまでもなく、メンテナンス費用が一番安いのは屋根塗装です。次に安いのは屋根カバー工法で、最も高いのは屋根葺き替えです。 工場や倉庫に使われることも多い折板屋根ですが、扱われ方は千差万別で、毎年のように塗装しているところ(複数の建物を持ち、順番に屋根塗装をしている)もあれば、何も手を加えられることなく放置されている建物もあります。工場や倉庫の施設管理者や改修担当者はそれぞれのメンテナンスについて知っておいても損はありません。
それでは現在の折板屋根の状況に応じてどのリフォームが最適なのかを見ていきましょう。
屋根からの雨漏りや漏水がなく、チョーキング(白亜化)や塗膜の色褪せ、表面の軽い錆などの場合は屋根塗装で錆が拡がることを食い止めます。
折板屋根の多くは固定しているナットとボルトから錆びていき、そのサビが折板屋根にうつって劣化していきます。
これを防ぐためにボルトとナットに被せて水分をシャットアウトするキャップがあるのですが、なぜかない屋根が多いのです。もともと取り付けられていなかったのか、紫外線で硬化して割れて飛んでいってしまったのかは分かりませんが、屋根塗装する際は必ずつけてあげたい部品です。
屋根塗装ではケレンなどでボルトと屋根の錆を極力落とし、下塗りに錆止め塗料を塗布します。その後、中塗りと上塗りで仕上げます。もちろん、折板屋根に遮熱塗料を塗ることも可能です。
ここで問題になってくるのが屋根の面積です。凸凹が規則的に並ぶ折板屋根の面積はどのように求めればいいのでしょうか。
折板屋根の1谷の各部分の大きさが分かっている場合は三平方の定理を使って谷の斜辺の長さを求めます。ヨドルーフ88の場合、一谷の長さは288mmになります。
縦と横の長さが分かれば、縦方向の谷の数と横方向の長さを掛け合わせて総面積を計算します。
2.係数から求める
折板屋根、波板などちょっと複雑な形状の屋根はその形状を考慮にされた係数が定められており、屋根の投影面積にこの係数をかけることによって面積が算出できます。業者によって使う数値が曖昧なので、それが正確な面積なのかはよく分からないところです。ヨドルーフ88の場合、係数として1.4が使われることが多いです。
3.係数を計算から求める方法
折板屋根の1谷分の長さと1谷分の水平方向の長さがわかっている場合は係数を求めることができます。
1谷分の長さが分かっているということは当然、斜辺の長さも分かっているということなので、係数を使わずとも正確な面積を求めることができます。敢えて係数を求めることもないような気もですが、現場では製品別に係数だけを知っておくといろいろと役に立つことも多いのです。
もちろん、折板屋根にもカバー工法が可能です。これまでの折板屋根の上に防水紙を敷き、その上に新しい折板屋根を被せます。屋根の上に屋根を被せるので重ね葺きとも呼ばれる工法です。
これまでの折板屋根と新しい折板屋根の間に断熱材を挟みこむことも可能なので、暑さ対策も可能です。折板屋根を固定しているところは丈夫ですが、ところどころ雨漏りしている時に最適なメンテナンス方法です。
折板屋根がボロボロで台風などの強風に耐えられないと判断した場合に行う改修です。
折板屋根を固定しているタイトフレームなども交換することができるので、これまで以上に頑健な屋根にすることも可能です。現在では工場出荷時に遮熱塗料を塗られた遮熱鋼板がありますので、暑さ対策も可能です。
あまり注目されることはないのですが、実は折板屋根にもさまざま工法があります。工法の違いは屋根材の固定の仕方の違いで、外観にも差が出ますし、コストも大きく変わってきます。
屋根材の端と端をタイトフレーム(屋根材を固定するために梁に取り付ける構造材)に取り付けた金具に巻き込んで折込み、屋根材を折り曲げ加工して固定する方法。 施工が屋根の上からだけで行えるので工期も短くなり、屋根に穴を開けないので防水性に優れてます。しかも、ボルトやナットを使用しないので経済性も高いのです。
唯一の弱点は固定力で、強風や経年で徐々に緩んでいき、外れやすくなることもあります。点検時にはガタつきがないかを確認しましょう。
さまざまなところで見かける一般的な工法。屋根材と屋根材を重ねてその部分をボルトとナットでタイトフレームに固定します。ボルトとナットでしっかりと締め付けて固定するので、強風にも絶えられるのが最大のメリットです。 1枚の面積が大きく、軽い折板屋根は風に煽られやすく、台風などの強風時には「剥がれた」、「飛ばされた」というニュースを聞くこともあります。そういった被害に遭いづらい工法です。
屋根材と屋根材の重なり部分を吊り子でタイトフレームに固定する方法。
重ねとの最大の違いは屋根の突起となっている吊り子にキャップを被せて、突起を覆ってしまうことです。キャップを被せることよって防水性も高くなり、重ねとほぼ同じ固定方法なので、耐風性も高くなります。
ハゼ締めと重ねの良いところ取りの固定方法と言えます。
アパートの折板屋根の塗り替え、遮熱塗料で入居者様に涼しさを届けます
仕様塗料:遮熱塗料サーモアイSi(クールベビーブルー)
折板屋根が使われている大きなアパートです。オーナー様は定期的なメンテナンスを行っており、今回もその時期となりましたので、屋根塗装をすることになりました。アパートなどで集合住宅での雨漏りは入居者様へ大きな負担をかけてしまいます。雨漏りしているお部屋と雨水の浸入箇所が遠く離れている場合、何部屋にも渡って点検をしたり、工事をしなければならないからです。オーナー様は入居者様を大切にされている方で、屋根は常に健全でなければならないともおっしゃっていました。
2階建て全8部屋のアパートです。現在、築25年で2回目の屋根塗装になるそうです。全体的に色褪せがしており、色のむらも出てきています。錆も雨が溜まりやすい谷部やボルトとナットのの部分、屋根の端の部分に出てきたところです。ちょうどメンテナンスの時期と言えるでしょう。
折板屋根は金属、めっき鋼板を成型したものです。屋根でも、フェンスでも、その他の場所でも金属への塗装は錆をしっかりと取り除けるのかで耐用年数が異なってきます。まずは高圧洗浄をします。その後、スクレーパー(先が鋭いへら)で表面の錆を削り落とし、その後、金属たわしで細かい錆を削り落としています。ケレンと言われる工程で手間がかかる作業ですが、丁寧に行えば行うほど寿命は伸びますのでしっかりと行います。
今回の屋根塗装では遮熱塗料のサーモアイを使用しますので、専用の下塗り材「サーモアイプライマー」で下塗りを行います。遮熱塗料サーモアイシリーズの特徴は下塗り用塗料にも遮熱機能があるということです。塗装する場所の素材に合わせて下塗り用塗料も用意されていますので、金属を塗装する際はプライマーを使用します。
屋根塗装の色はクールベビーブルーを選びました。屋根塗装用サーモアイ40色のうち、クールベビーブルーは日射反射率70.4%と3番目に遮熱性能の高い塗料となります。見た目にも涼しげな色ですので、視覚による心理的効果も期待できる色です。
折板屋根で錆びやすい部分が屋根材を固定しているボルトとナットです。こちらにも塗料を塗布し、錆びないようにはするのですが、それだけでは対策が充分とは言えません。そこで、樹脂製のボルトキャップを被せます。雨が直接当たることがなくなるので、かなり錆び難くなるのでする。
テレビアンテナを元の位置に戻したら、屋根塗装は終了です。折板屋根の弱点は錆やすいことの他に「夏、暑くなりやすい」というものがあります。現在はそういったことも塗るだけで解消できるできる時代となりました。遮熱塗料による屋根塗装はアパートのご入居者様もお喜びになられるメンテナンスの一つです。
アミューズメント施設の折板屋根を屋根カバー工法で雨漏り解消
使用屋根材 :ルーフ600(ガルバリウム鋼板)
パチンコ・パチスロ店のオーナー様から「雨漏りを解消してほしい」とご相談を承りました。現在のところ、従業員の方の休憩スペースとなっているところへ雨漏りしており、それがお客様が遊技するフロアの天井にまで影響が出てきたそうです。こういったアミューズメント施設は電気も多く使いますので、雨漏りによる漏電なども心配です。快適な職場と遊技環境にするため、屋根カバー工法でお悩みを解決致します。
薄緑の折板屋根を高さが低いパラペットが囲んでおり、折板屋根とパラペットの間が雨樋になっているという造りです。勾配が上手く取れておらず、そのことも雨漏りの原因となっている状態です。
外見から判断すると折板屋根の状態は悪くないようですが、看板や電飾を固定するためのワイヤーが共締めされているのが気になります。明かり取り用のトップライトのシールに問題があるらしく、この下の室内の雨漏りが酷いということでした。
屋根から採光している部屋の様子です。画像では確認しづらいのですが、天井がたわんでいます。雨染みもできています。小屋裏には浸水した跡もあり、カビも発生していました。この木材の白く変色している部分がカビです。
ここで問題になってくるのが、看板や電飾です。全面的に屋根カバー工事するには取り外さなくてはなりません。しかし、今度は取り付けるのが難しくなります。幸いにも看板や電飾していないので、今回は部分的に屋根カバー工法をすることになりました。
雨水の浸入口となっている採光部、まずはこちらを撤去し、完全に塞いでしまいます。屋根カバー工法では屋根の上の突起物や出っ張りは邪魔になるため、一般的な戸建ての屋根でも雪止めや棟板金は撤去します。
今回の工事ではパラペット部分まで覆ってしまう屋根カバー工法となります。そのため、屋根の高さを上げる必要があります。これまでの屋根の梁が通っている部分の真上に正確に穴を開け、そこに骨組みを取り付けていきます。
屋根の梁から延長した骨組みを溶接していきます。溶接された部分は錆びやすくなっているので錆止めを塗布します。屋根カバー工法というと割りとお手軽な屋根リフォームと捉えられがちですが、今回はその構造から作り上げる大規模な工事となりました。
折板屋根を固定するタイトフレームをボルトで骨組みに固定していきます。タイトフレームの固定が終わりましたら、屋根材を設置していきます。
今回の屋根カバー工法は屋根を部分的に覆った上、なおかつ勾配をつけて片流れの屋根にし、新設した雨樋で排水するというものです。
タイトフレームには剣先ボルトになっており、ここに屋根を押し付けて固定用の穴を開け、ボルトで固定します。少しでも雨漏りのリスクを減らすため、電飾や看板のギリギリまで屋根材を設置していきます。
屋根カバー工法でこれまでの陸屋根が緩勾配の片流れの屋根となりました。もちろん、雨樋も新設し、ここから排水いたします。こういった建物の構造、使用環境に合わせた屋根カバー工法も可能なのです。屋根のことならどんことでもご相談ください。
倉庫の折板屋根の雨漏りを部分的な屋根葺き替えで解消
使用屋根材 :IC角はぜ折板K-300
建物のオーナー様から「倉庫として利用している建物で雨漏りが起きてしまった」とご相談がありました。守秘義務があるので詳しい内容は伏せますが、物流倉庫として利用していたそうで、雨漏りは以前から気付いていましたが、お借りになっている会社との調整が取れず、工事まで至らなかったようです。商品を保管しておく関係上、このまま放置するわけにはいかず、業務をストップしての改修となりました。
建物にもよるのですが、体育館などに代表されるように折板屋根は室内から屋根の様子を観察しやすいという特徴があります。異変に気付きやすい屋根なのです。鉄骨である梁に錆が出ており、折板屋根には白錆が出ています。
外から見てみるとハゼ締め式の折板屋根であることが分かりました。ハゼ締め式の屋根は防水性が高いのですが、いろいろと不具合が発生しています。まず、部分的に結構な勢いで錆びています。次に面戸が外れています。これでは雨水が浸入し放題です。そして草が生えています。おそらく面戸の隙間に水が溜まっており、そこから草が生えたのでしょう。根がその隙間を押し広げて雨水を浸入させている可能性あります。
葺き替える部分の屋根材を撤去した状態です。戸建て住宅などは垂木や野地板などがあり、屋根材を外しても屋根と分かりますが、こちらはスカスカで床が見えます。梁となっている鉄骨にタイトフレームを取り付けてそこに屋根材を固定していく造りなのです。こうして見てみると、鉄板のみで雨を防いでいる折板屋根が凄いものだと分かります。
雨漏りしているということで、鉄骨部分はビニールで養生しました。こうして室内側から見てみると、新しい尾根材と古い部分がよく分かります。白錆が出ていた部分の屋根材を交換しましたので、これで錆か広がっていくこともなくなりました。
建物の壁と接している部分については古い水切り板を撤去し、透湿防水シートで被いました。面戸は全て新しいものへ交換しました。細かい部分の防水についてはシーリング材を充填し、水密性を高めていきます。
屋根の色のせいか、外側から見ると新旧部分が分かりづらいですね。これで折板屋根の部分的な屋根葺き替えは完了しました。
倉庫の事務所のエアコンの室外機などが載っている部分に雨漏りはなく、ここはこれまでの屋根材のままです。色の違いで新旧が分かると思います。
折板屋根の改修方法についてのまとめ
●折板屋根とは鋼板を規則的に蛇腹状に折り曲げた金属屋根のことです
●折板屋根は金属なので錆が最大の敵です
●折板屋根のような形状でも正確に表面積は算出できます
●折板屋根には定期的なメンテナンスとして屋根塗装が必要です
●雨漏りや漏水がはじまったら、屋根カバー工法や屋根葺き替えを検討しましょう
●折板屋根には様々な工法があり、防水性や耐風性、美観性、何を重視するかによっても工法を選べます
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